群雄割拠の時代に突入しているキャンプ用クッカーの中でも、間違いなくNo.1人気と言えるクッカーが「メスティン」です。
今やトランギア製に限らず、100均やニトリまでもが「メスティン」を販売しており、キャンプをしない人にまで知名度が知れ渡っている大人気の四角い飯盒です。
四角いからこそ使い勝手が良い!
メスティンはただの四角い飯盒ではありますが、なぜここまでキャンパーに支持されているのか、その人気の秘密を紹介したいと思います。
メスティンとは?
メスティン(messtin)とは「mess=兵隊の食事」と、「tin=ブリキ缶」を合わせた英語で、日本でいうところの飯盒です。
本来の用途は、兵隊さんが食事を持ち運ぶ時に使ったり、配給を受け取ることなどに使われています。
「トランギア以外のメスティン」=「偽物」と思っている人も多いと思いますが、「メスティン」はブランド名などではなく「飯盒を英語で言っただけ」ただの一般名詞です。
トランギアのスウェーデン版Webサイトではメスティンは「Matdosa(容器・食器と言う意味)」と言う名称で販売されています。
他社アウトドアメーカーのメスティンも、ダイソー・ニトリのメスティンも全て本物のメスティンのため、お好みのメスティンを使うことができます。
基本的にはどのメスティンも同じだけど、トランギア製が人気!
人気のトランギア製メスティン
トランギア | メスティン | ラージメスティン |
---|---|---|
サイズ | W17×D9.5×H6.2cm | W20.7×D13.5×H7cm |
容量 | 750ml | 1350ml |
重量 | 150g | 270g |
材質 | アルミ(無垢) | アルミ(無垢) |
炊飯の目安 | 1.8合まで | 3.5合まで |
トランギア製のメスティンは、メスティンブームの火付け役と言うだけあって、人気は他社のメスティンと比べても圧倒的に高いです。
しかし、トランギア製メスティンは、他社メーカのメスティンと比べて決して品質が優れているとか、機能が優れていると言う訳ではありません。
バリ取りが必要
トランギアは海外ブランドなだけあって作りが少し甘く、新品のメスティンを買ったら、まずはフチ部分がギザギザして危ないため、バリ取りを行う必要があります。
シーズニングも必要
また、トランギア製メスティンは薄い「無垢のアルミ」で作られているため、黒ずみや変色が起きやすく、焦げやすいのでシーズニングも必要となります。
ファンの間では買ってから始めるこの二つの作業を「儀式」なんて呼んだりしていますが(笑)、後発メーカーは、トランギア製メスティンの使いづらさを解消した作りとなっています。
シーズニングの必要がないアルマイト加工されたメスティンや、バリ取りの必要がないようにちゃんと作られたメスティンももちろん販売されています。
他にも、焦げ付きがが起きないように、お家のフライパンと同じようなテフロン加工されたメスティンなんかも販売されています。
メスティンだけでもめっちゃ種類がある!
メモリは付いてない
メスティンを使って米を炊くにしろ、料理をするにしてもメモリがあると便利です。
トランギアのメスティンはリベットの位置が、お米を1合炊くときに入れるお水の目安と言われてますが、やっぱりメモリはあった方が便利です!
ニトリのメスティンははじめからメモリが付いてますし、メモリ付きのメスティンもたくさん販売されてます。
メスティンを使い方と注意点
メスティンの一番多い使い方は炊飯、要は飯盒としての使い方です。
お米を炊く以外にも、料理の基本調理法である「焼く」・「茹でる」・「炒める」・「揚げる」・「煮る」・「蒸す」・「和える」など、どんな料理もメスティン一つで簡単にこしらえることができる万能クッカーです。
トランギア製メスティンは無垢のアルミでテフロン加工はされてないため、「焼く」「炒める」は焦付きやすく苦手です。
世の中便利なもので、レシピブックまで発売されとる!
唐揚げはメスティンが簡単!
お弁当箱になる
メスティンはクッカーとしての使い方はもちろん、お弁当箱として持ち運ぶこともできます。
本場兵隊さんの使い方
密閉力は高いけど、完全密閉ではないため(パッキン無し)、汁の多い料理を持ち運ぶのは大変です。
物入れとして使える
本家トランギアでは「Matdosa(容器・食器と言う意味)」と呼ばれているため、メスティンは容器(小物入れ)としても使えます!
「メスティイン」を言われるほど、メスティンはスタッキング力が高いのが特徴です。
自動炊飯するための、固形燃料、風防、五徳をまとめて持ち運んだり、カトラリー入れにしたりなど、四角い角形のため、小物入れとしての使い勝手にも優れており無駄なく収納できます。
メスティンとラージメスティンは重ねて収納することが可能です!
焦げ付きやすい
トランギア製など無垢のアルミを使ったメスティンは、テフロン加工やアルマイト加工などしていないため、簡単に焦げ付きます。
油多めに入れても駄目!?
そこまでするなら鉄板やフライパンの方が使いやすい!
トランギアのメスティンをテフロン加工を施工してくれる業者さんも存在しますが、加工代も高いし、そこまでしてこだわる理由はありません。
キャンプ用の軽いテフロン加工はフライパンはいっぱい売ってますし、はじめからテフロン加工されているメスティンも売ってます!
また、メスティンに限らず、アルミクッカーは空焚きすると穴が空いたり、溶けたりするので、空焚きは厳禁です!
やっぱり美味しいご飯が炊ける!
メスティンは密閉力も高く、熱伝導率の良いアルミのため、美味しくご飯が炊けます。
一番オーソドックスな使い方として、「固形燃料+メスティン」を使うだけで、簡単に20分ほどほったらかすだけで炊飯ができます。
固形燃料に火を付けただけで、あとはほったらかし
固形燃料だけでなく、アルコールストーブを使っても同じように簡単に炊飯ができます。
固形燃料やアルコールストーブは火力がそこまで強いわけではないので、ゆっくりとじっくり炊くことができますが、火力の強いガスバーナーを使って一気に早炊きすることもできます。
そして、キャンプだけでなくお家でもメスティンは使えます。
うちは炊飯器が故障した時に、メスティンを炊飯器代わりに使ってガスコンロで炊飯していました。
メスティンは色々な火器を使って炊飯できるため、状況に合わせてやりやすい炊飯方法を試してみてください。
それでもトランギア製メスティンが人気の理由
先ほどもお伝えしましたが、トランギア製のメスティンは、他社のメスティンと比べると決して品質が優れている、機能が優れていると言うわけではありません。
それなのになぜ「トランギアのメスティン」が選ばれているのか?経済学を元に解説していきたいと思います。
固い内容なのでパスしてもOK!
原因1:キャンプブームにより、市場がコモディティ化
昨今のキャンプブームにより、各社キャンプギアに力を入れることにより、消費者はキャンプギアを欲しいと思ったら容易に入手することが可能な時代です。(いわゆるモノ消費)
100匀にあるキャンプ用品コーナーでさえ、マグカップ一つとっても簡単に壊れることはないなど安価で高性能な商品が溢れています。(コモディティ化)
そのため、消費者は「入手するだけでは味わえない体験をしたい」「人と同じ繋がりを感じたい」という欲求が高まってきます。(いわゆるコト消費)
原因2:コロナ禍によるコト消費の制限
コト消費は商品を入手するまでの過程や体験などに対価を支払う消費行動です。
しかし、コロナ禍によって外出が制限されることにより、「実物をみて決めよう」などの体験を経てモノを購入するといったコト消費を行うことが難しくなりました。
そのため、オンラインショッピングでの買い物へと移るのですが、多くの場合商品をスペックから判断して購入するしかありません。
結果:「付加価値」を求める消費者
オンラインショッピングでは、消費者はモノを差別化出来る「個性」や「付加価値」を求めます。
このような現象を「ストーリー消費」と呼び、商品に付帯する「ストーリー」は、まさに消費者の求める個性となります。
トランギアの歴史を振り返って見てみますと
- 創業約100年という長い歴史がある
- アルミ製品を主に作っているという信頼
- ストームクッカーやアルコールバーナーなど売れ筋商品がある実績
これだけでひとつのストーリーが出来上がり、歴史や作り手の思いは、他社のメスティンとの差別化ポイントとなり、商品に付加価値が生まれます。
また、インスタでもトランギア関連で8万件以上(英語も含めると20万以上)もの投稿があるため、ストーリーの拡散をしやすく、価値観・共感を生みやすく消費行動へとつながっています。
これ以上はストーリーマーケティングのお話になってしまうため、この辺りでまとめます。
まとめ:トランギアの歴史が付加価値
トランギアはバリのあるメスティンでも、そのストーリーにより勝手に宣伝してくれて売れてくれるという好循環が生まれ、消費者も「メスティン=トランギア」の認識となっているため、ここまでの人気となったと思います。
最初のクッカーとして間違いなくおすすめできる!
ストーリー消費も大事ですが「自分にとって魅力があるかどうか」も大切です。
世間の多数が良いと思うかどうかではなく、自分がかっこいい、欲しいと思えるかどうかも大切にしてください。
それがメスティンであれば、もちろんメスティンをおすすめしますし、他にもかっこいいクッカーはたくさんあるので自分で探して選ぶことも大切です。